極上の恋愛はいかが?

「あ…あの…そろそろ戻ってもいいでしょうか?」

社長に連れられてる途中に自販機でゆず茶を2カップ購入し、
社長室にまで来たもののどうしていいのか分からず、入るなり立ったまま返事を待つ。
身が冷えきっていた為か、自販機のものであっても両手で持つそれはとても温かく、
そして喉を通ると心の中までも温かくなる。

「そう焦んなくても良いと思うよ」
「しかし、まだ業務が…」

戻らないといけないと分かっていながらもこの状況を自ら解くのも
惜しい気がしてただ言われるまま、ただ心臓の鼓動が早く進む。

「あのさ…一緒に居たいからただの口実って言い出したらどうする?」
「え?」

社長室に着いてからきっとまだ5分ぐらいしか経っていないと思う。
でも、このたった5分がとてつもなく長く感じる。
からかわれているのか、本気なのか、どう言い返せばいいのかまったく思い浮かばなく、
そっと近づいて来る社長の顔をただ見る事しかできない。

「あの…それは…どう言う意味で…」
「ん?」
「からかうなら他をあたって下さ……─────!?」

期待してしまいそうな言葉に浮かれてしまう自分を抑え込もうとした瞬間、
左手が伸びて来たと思えば、後頭部をぐっと引き寄せられた。
突然のことに声を上げる間もなく、莉央は社長にキスをされていた。



「─────っ!?」


驚きに目を見張ると真っ直ぐに見つめて来る瞳とぶつかった。


「誰がからかってると言った?」

今までに向けられたことがない真剣なその眼差しに心臓が破けてしまうかと思うぐらいの
今までに感じたことのない鼓動に襲われる。
何か言わなければいけないが、何を話せばいいのか分からない。
聞こえるのは速度が増した自分の鼓動だけ。


「期待してもいいのですか…?」


返事の変わりに触れるだけのキスをする。

長い間、夢を見ていたのかもしれない。
ずっとずっと覚めることの無い夢だと思っていたけど、
恋をするなら初めから決めていた。

例えそれが初恋であっても────

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