今日から家族になりまして。
大きい荷物とかは引越しの業者に運んでもらい、あとは服とか、細かい日用品はキャリーバッグやカバンに詰めて持っていくことにした。
引っ越しの準備も整ったし、あとはこのアパートから出るだけ。
大家さんに挨拶をして、少し古めのアパートを名残惜しみながらしばらく眺めたあと、俺は父さんの車に乗った。
「じゃ、行くぞー!」
楽しそうに車を発進させる父さん。
スーツもビッシリ着こなして、髪もいつもよりワックスを多めにつけたのか、なんだかキマっている。
「よかったねぇ幸せそうで」
棒読みで俺は父さんに祝福する。
まぁ、嫌なわけじゃないからな。
むしろ、浮気されてから父さんがずっと元気なかったから、今嬉しそうにしてるとこ見るとなんか安心だし。
今度は、いい人だといいなぁ。
「苦労させたな、空。今度は、ちゃんと幸せになろうな」
「だな。俺は別に苦労したなんて思ってないけどな」
運転しながらそう言う父さんの背中を見て、俺は返事をした。
「ははっ空は優しいんだから」
笑う父さんに、俺は気になっていたことを聞いてみる。