結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
脱力する私の耳に、『そろそろ仕事終わった頃かなと思って』という葛城さんの声が届く。とりあえず本社前の歩道の脇に移動して、そこに立ったまま話をすることにした。
いつ本題を切り出そうかとそわそわしながら、いたって普通の会話をしていると、彼は明るい声でこんな提案をする。
『今度、“素晴らしき元素の世界”っていう展覧会があるんだって。面白そうだから行ってみない?』
「ほんとですか!? それはすっごく──」
元素と聞いてぱっと顔を輝かせ、つい乗ってしまいそうになり、口をつぐんだ。
いけないいけない、オイシイ話につられちゃダメよ。いくら元素について語り合えるのが魅力的でも、葛城さんを期待させるようなことはできない。
私は一度唇を噛みしめ、声のトーンを落とす。
「……すごく興味があるんです、けど」
『けど?』
息を吸い、罪悪感を振り払って思いを口にする。
「ごめんなさい、行けません。葛城さんの気持ちにも、応えられないんです。本当にすみません……!」
彼には見えないというのに、自然と頭を下げてしまった。
どんな言葉が返ってくるだろうかと、少し緊張して待つこと数秒、聞こえてきたのは落ち着いた問いかけ。
いつ本題を切り出そうかとそわそわしながら、いたって普通の会話をしていると、彼は明るい声でこんな提案をする。
『今度、“素晴らしき元素の世界”っていう展覧会があるんだって。面白そうだから行ってみない?』
「ほんとですか!? それはすっごく──」
元素と聞いてぱっと顔を輝かせ、つい乗ってしまいそうになり、口をつぐんだ。
いけないいけない、オイシイ話につられちゃダメよ。いくら元素について語り合えるのが魅力的でも、葛城さんを期待させるようなことはできない。
私は一度唇を噛みしめ、声のトーンを落とす。
「……すごく興味があるんです、けど」
『けど?』
息を吸い、罪悪感を振り払って思いを口にする。
「ごめんなさい、行けません。葛城さんの気持ちにも、応えられないんです。本当にすみません……!」
彼には見えないというのに、自然と頭を下げてしまった。
どんな言葉が返ってくるだろうかと、少し緊張して待つこと数秒、聞こえてきたのは落ち着いた問いかけ。