結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
彼はふっと優しく微笑み、諭すようにゆっくり、しっかりと想いを伝えてくれる。


「綺代と一緒にいるのは楽しいよ。人を気遣う優しさとか、なにに対しても真面目に向き合う姿勢はすごいと思うし、しっかりしていそうに見えて抜けてるところも、男に免疫がないところも可愛いと思う。とにかく、全部に惚れてるってことだ」


せっかく拭ってくれたのに、温かい雫はとめどなく流れて頬を濡らしてしまう。

自分のいいところもダメなところも受け入れて、守って、好きになってくれる人に出会える確率はどれだけだろうか。

彼の一言一句が私にはもったいなさすぎて、肩をすくめた。

すると、そっと手を握られ、もう片方の手は愛おしそうに頬を包み込む。見つめ合わせられた瞳は、ダイヤモンドにも引けを取らないほど気高く美しい。


「今すぐ一緒になりたいとは言わない。でも、俺の未来には、必ずお前が隣にいてほしい」


……極上のプロポーズに、胸がいっぱいではち切れそう。

あなたが必要としてくれるなら、私はいつまでもそばにいたい。力になりたい。部下としてだけじゃなく、ひとりの女性として。

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