結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
「ありがと、ございます……っ」


きっと酷いことになっているであろう泣き顔で、心の奥から湧いてくる想いを言葉にする。


「初めてです。これからもずっと一緒に生きていきたいと思う男の人は。達樹さんだけ……」


涙声で伝えた直後、引き寄せられて強く抱きしめられた。

胸で泣きじゃくる私はやっぱり子供みたいだけれど、彼が向けてくれるものは父親代わりなんかではなく、ひとりの男性としての愛だと実感できる。

相手を信じること、それもまた愛なのだと知った。

恋愛には正しい式も、答えもない。でもきっと、今が幸せだと思えたら、これが私たちにとっての正解なのだ。




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