結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
首にしがみついた私に、彼は妖艶な笑みを見せてドキリとすることを言うと、リビングの隣にある部屋へと向かった。

ラグジュアリーな雰囲気の寝室の、広いベッドにふたりの身体が沈む。

それからは達樹さんの言葉の通り、身体の至るところに舌を這わされ、指で弄られて、チョコレートを温めるみたいにゆっくり溶かされた。

狼のくせにその行為は意外にも紳士的で優しく、「可愛い」と何度も囁かれて胸がキュンとして。

ひとつになるとき、尋常じゃない緊張や羞恥心はあっても、怖さは少しもなかった。

痛みをキスで逃がしてなんとか彼を迎え入れれば、心も身体も一杯に満たされ、たまらない気持ちになる。


「綺代……愛してる」


蜂蜜のようにとろけて艶めく声が、わずかな苦しさを混じらせて私の鼓膜を揺らした。

耽美なその響きにうっとりと浸りながら、絡み合う指にきゅっと力を込める。


「私も、あい、してる」


普段なら絶対恥ずかしくて言えない言葉が、たどたどしくも自然と口からこぼれ、快感を堪えているような彼の顔も幸せそうにほころんだ。

達樹さんから与えられる愛も、私が与える愛も目一杯で、まさに飽和状態。

もったいないほど溢れさせても、枯らせたりしない。永遠に。

熱い素肌を重ね合わせながら、私はそんな大層なことを真剣に誓っていた。




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