結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
パティスリー・カツラギといえば、全国区のテレビ番組でも紹介されるほど有名な洋菓子店だ。

パティシエの葛城さんは、国内外の様々なコンテストで受賞経験を持つ二十八歳。ジュエリーのように美しく、材料や製法にこだわった本格的なスイーツは、世の中の女子を虜にしてやまないと謡われている。


「お店はもちろん知ってます! 何度かケーキを食べたことがありますし。でも、葛城さんご本人の顔は……」

「知らなくて当然です。メディア嫌いらしく、ほとんど表に出てくることがないので」


そういえば、お店はテレビで取り上げられても、ご本人は一度も見たことがない。それはメディア嫌いだったからなのか、と納得して頷いた。


「今回もやっとのことでアポを取りつけました。実は、彼と共同でチョコレートを開発したいと考えていて、今日はそのためのもてなしをするんですよ」

「そうなんですか……!」


葛城さんを接待すると聞いて薄々感づいてはいたけれど、やはりサンセリールはパティスリー・カツラギとのコラボを所望しているらしい。

これが実現できたら、かなりの話題を呼びそうだ。考えただけで私もワクワクしてしまう。

密かに心を踊らせていると、社長が気になる発言をする。


「そこで葛城さんのことをリサーチしていたら、興味深い情報を手に入れまして」

「興味深い情報?」

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