彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
外に出てみれば見慣れない車。
主任とはちょっとイメージ違うような?

そんな事を思っていると助手席のウインドウがスーッと開いて「すみません、早くなってしまって」と声をかけられた。

とっさに「おつかれさまです」って出ちゃったけど、こんばんはの方がよかったかな。
とりあえず、気を取り直して


「いえ、大丈夫です。準備はできてましたし」


こんな言い方じゃ、行く気満々で用意してたってバレちゃうじゃん。
もっとうまいこと言えないの?
ほんとこんな時、自分の恋愛力の低さに泣けてくる。


「助手席にどうぞ」


社用車のときにどこに座ればいいのか迷った私を思い出してくれたのかな。


「あ、はい。失礼します」


助手席のドアを開けて車に乗ってみるけど、やっぱり主任のイメージじゃない。


「自分の車じゃないので、やっぱり慣れないですね」

「へ?」


やっぱりイメージじゃないって思ったのって間違ってなかったんだ。
でもまさかレンタカーじゃないだろうし?


「朔也のです」

「え?朔也さんの、車?」

「昨日遅くに朔也が家に来て、飲んだくれてタクシーで帰りましたから」

「……はぁ」

「どうせ今日くるんだから持って来いと。まるで代行扱いです。まったく」


そういえば、スーツじゃない主任初めて見る。だけど、それより


「あ、の。主任メガネは?」

「休みの日は基本コンタクトですね」

「え?どうして普段はメガネなんですか?」

「真面目そうに見えませんか?眼鏡があると」


確かに、真面目そうっていうか誠実そうに見える。
個人的にはメガネは三割り増しかっこよく見えるメガネ男子萌えだけど。
ってそうじゃなくて。


「そうですね」

「大学を出た頃、見た目がチャラかったので……」


主任が?ですか?
私の中では、主任は知的メガネ上司なんですけど。


「意外です」

「朔也の友達なんだから大体わかるでしょう?」


そこで「はい」って言ったら、まるで朔也さんがチャラいって言ってるみたいじゃないですか。


「見た目が変わればだんだんと中身も伴ってくるものです」


そう言った休日モードの主任はいつもと違っていて。
知的メガネ男子からイケメンクール男子に変身してる。
どっちにしろ、かっこいいっていうのは違いないけど。
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