彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
わりと簡単だと聞いて作りはじめた生チョコ。
生クリームとチョコ混ぜ合わせるだけって。
言うのは簡単。やるのは……そんな簡単なことではなかった。

生クリームの温度とか、泡だて器で泡立てるのとか。
お菓子つくりって実は重労働かつ繊細な温度管理も必要だったりして。

なんか、でも。ちょっと楽しいかも?

これって、あげる人の顔が見えてるから?
食べてくれる人が誰かわかってるから?

誰かのために作る料理って実は楽しいのかもしれない?

かなり不細工な生チョコだけど、一応形にはなった。
味も、たぶん悪くはないと思う。
今まで作ったチョコクッキーに比べれば全然いいと思う。

コツとかあるのかもしれないし、お母さんに聞いてみちゃう?
誰にあげるのって聞かれたら潤兄って答えればいいしね
潤兄にもあげるから、嘘じゃないし。

早速お母さんに電話をして土曜日の昼間、教えてもらうことに決定。
お泊り出来ない理由は、次の日に友達と約束してるから。
もちろんそんなのは嘘だけど。

とりあえず今日の練習はおしまい。
ジュンさんからのメールによれば今日のログインは十一時過ぎ。
初日にメールで教えてもらってから毎日ログイン時間のメールをくれる。

『ログイン予定時刻 11時過ぎ』


たった一行の顔文字も挨拶文もないメール
仕事のメールだってもう少し愛想あるよってつい笑ってしまう。

真面目というか、なんというか。ジュンさんらしい。

少しずつ現実に入り込んでいるジュンさんの存在。

リアルのジュンさんってどんな風なんだろう?
ゲームに繋いでない時間のジュンさん。
ジュンさんの日常……


え?
なんで?

さっきまで私は主任を想ってチョコの練習をしてたのに。


ジュンさんからのメールをみて、その向こうの彼の生活を知りたいと思っている自分に。


う、そ

私が好きなのは主任のはずで

ジュンさんはゲームの中の人で
頑張ったねって言って欲しくて
それだけだったはずなのに


まさか二人とも?
好きになっちゃったの?私?
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