彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
毎日仕事から帰るとチョコ作りの練習。
それが終わるとゲームにログインしてバレンタインイベをジュンさんとすすめる。
それを繰り返し、あっという間の二週間。

とうとうバレンタインの前日。
今日作るチョコは練習ではなく、本番。

お母さんと相談した結果、生チョコとトリュフチョコの二種類を作ることになった。
一日に二種類作るのはその時一緒に作って以来。


今年のバレンタインは木曜日。
思いっきり平日で仕込みも楽じゃない。


でも、あんなに練習したんだもん
きっと上手くに出来るよね?


お母さんにコツを教えてもらったことと、毎日の訓練の成果なのか、今日はスムーズに進む。
上手に出来たら、主任と望亜奈さんと……


「あ、」


潤兄に連絡するの忘れてた。

潤兄のことだから当日は色んな人からもらうだろうし。
もしかしたら大切な人と過ごすのかもしれないし。

慌てて手を洗って潤兄にメール。


【チョコは金曜日に渡します<(_ _)>よろしく】


出来上がったメールを見てあまりの短さに笑ってしまう。
毎日のジュンさんとのメールのやり取りで短いメールに慣らされちゃったみたい。


【せっかくだし、メシでも行こう】


潤兄からのメールはすぐに戻ってきた。

手作りチョコ作ってあげるんだもん。
ご飯ぐらいご馳走になってもいいよね。


【楽しみにしてるね(≧▽≦)】


携帯をテーブルに置くと、またチョコ作りに戻った。


おいしく出来ますようにって願いを込めながら。


冷蔵庫で冷やしている間にお風呂に入る。
お風呂から出たらラッピングしてって頭の中で今後の予定を立てる。


今まではおいしくつくることばかり考えてて。
渡す時の事なんて考えても見なかった。

ていうか、ほんとに渡すんだよね?
主任に。

みんなとは別に私だけ一人で渡すのって目立つよね?
いや、でも直属の上司にチョコあげるのは普通だよね?

いつもお世話になってますって意味であげるんだもん
別に特別な意味なんて……
きっとあっちゃいけないんだよ


チョコを渡すかと思うとドキドキするけど、
それはワクワクじゃなくて悲しい気持ちにさせられて


チョコをあげたい気持ちと
あげちゃいけないんじゃないかって思いが交差する。


こんなに一生懸命頑張って
だけど、こんなに迷って
どうしたらいいのかわからない
そんなバレンタインの前日は初めて

明日になったらこの思いから解放されるかな?
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