彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
《ログイン完了です》


フトモモ天使: こんばんはー^^


うわっ
誰もいない。
そっか、メンテ明けだから誰もいないのか。

ゲームをしたくてというよりも誰かと話をしたくてログインしたのに。
知り合いが誰もいないとなると、途端につまらないものになる。

とりあえずはじめたばかりの生産の準備をしてスタートさせるとその場を離れた。

あの場所から少しでも早く離れたくて車でそのまま家に帰ってきた。
本当はまだ少し進めておきたい仕事もあったけど、あの状態で仕事になんてならない。

三月はキャンペーン中で処理する書類もかなり多いけど。
明日から他の仕事も増えると主任が……

あーもうダメダメ。何も考えないって決めたのに。

そのままお財布をつかむとコンビニに向かった。
選んだのはお弁当じゃなくて、普段は買わないお酒。
お酒が最善の策とは思わないけれど、どうしても現実から目を背けたかった。


少しずつなんて進めない。
夢の時間はもうあの日で終わったなんて。


家に帰るとお風呂に入って買ってきた梅酒の缶をあけて飲み始めた。
前に望亜奈さんと一緒に飲んだきりだけど、けっこうおいしい。
なーんだ。やっぱり私、けっこうお酒飲めるようになった?
やっぱり訓練すれば飲めるようになるんじゃん。

テーブルの上に置いた携帯が着信を知らせている。
ダレよ、気持ちよく飲んでるのに。


「はい」

『桃。今、家?』

「潤にぃ…」


潤兄の声聞いたら、一瞬吐き出してしまいそうになって。


『ん?どうした?』


そんな声を出したからか潤兄は心配そうに聞いてくる。
だから、慌てて普通通りを装って答える。


「どうも、しないよ。何か用だった?」

『この前の埋め合わせ、いつにしようかと思って』


あぁホワイトデーの。
ホワイトデーなんてキライなのにな。


「……ちょっと今月は忙しいかなぁ」

『桃。何かあったのか?』


何かって何で潤兄にわかっちゃうんだろ。
普通にしてるつもりなのに。


「……何もないってば。」

『今、家だよな?』


潤兄はそれだけ言うと電話が切った。
え?まさか、これからきたりしないよね?
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