彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)


「なんにせよさ、そこんとこ乗り越えて桃はまた一歩前進できるんだと思うよ」


乗り越えるかぁ、
乗り越えられるのかなぁ?
これ以上にこんな想いにさせてくれる人に出会えるのかなぁ?


「潤にぃは、そんな切ない恋したことある?」

「恋、なぁ。…俺のは恋だかなんだか、……よくわからないな」


少し寂しそうに言ったあと、また今飲んでいたビールを煽った。
潤兄はもしかしたら、切ない恋をしてるのかもしれない。
大人に思えた潤兄が少し頼りなげに見えた瞬間だった。




     *****




「桃?ねむい?」

「あー、うん。最近あんまり眠れてなかったから…」


そうだ。
ここ一週間でまともに寝れたことはあまりなかった。
今日はご飯もしっかり食べて、しかもお酒まで飲んで……


「寝ててもいいけど、帰るならタクシー呼ぶよ?」


なんか潤兄がいってるけど、
あーなんかこのまま目を閉じて寝ちゃいたい。


「んー?…うん、、、」

「桃?……ったく、仕方がないなぁ」


最後に潤兄の聞こえてきたのはここまでで。
いつのまにかそのまま眠りの世界に引き込まれていってしまった。



「……桃。」


主任に抱きしめられて、ゆらゆらと揺られて暖かい所に寝かせつけられてる。


「主任?」


会いたかった主任がそこにいて、手を伸ばせば暖かい手に包まれた。


「……すき、です」


そこで主任の姿が見えなくなって意識もさらに深いところに入っていった。
< 334 / 439 >

この作品をシェア

pagetop