彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
着替えを終えて戻ると潤兄はコーヒーを飲み終えてキッチンに下げているところだった。


「そういえば、桃。GWどうすんの?」


冷蔵庫に貼ってあるカレンダーを見て潤兄が聞いてきた。
そのカレンダーの一日には丸印がついている。
もちろんオフ会の日。


「あー、ちょっと友達と出かけるかな」

「どこいくの?」

「へ?あー東京にお買い物行こうかなって」

「ふぅーん」


なんか嫌な予感。
潤兄がこういう態度の時って、あんまりよくないこと言い出すんだよね。


「気をつけてな」

「あ、うん」


なんだか拍子抜け。
これはこれでなんか寂しい。


「潤兄はGWどっかいくの?」

「ん?俺?母さんの付き合い」


伯母さんの付き合いって言えば食べること。
長期のお休みだから普段いけないようなところに行くのかな?


「そうなんだ。どっか遠いトコ行くの?」

「あー海外だってさ」

「そっかー、なかなかいけないもんねー。グルメツアー」


いいなー。海外に美味しいものを食べに行くなんて。
うらやましすぎる。


「桃も、くるか?」

「アハハ そうだねー。私もいつか行きたいなー」


潤兄のとこは今は家族は二人だから親孝行の旅行だってわかってる。
きっと今回も潤兄が伯母さんを連れて行ってあげるんだろうな。
口は悪いけど、こういうとこ潤兄って優しいよね。
そんなこと言うと、また調子に乗るから言わないけどさ。


「とりあえず――――」
「今日どこいこうか?でしょ?」

「わかってるなら考えろよ」

「んー。特にないけど。あーお洋服とか見たいかも?」

「もうすぐ買い物行くのに?」


う、するどい。
そうだ、買い物っていったからおかしいけど、でも。


「ほら、やっぱりあんまりへんな服装で行くのもねぇ?」

「意味わかんね」

「乙女心です」

「乙女ねぇ…」


いくつになったって乙女なんです!
これ以上突っ込まれたくないから、心の中でそう叫んでみた。
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