彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
左手に携帯を握りしめて改札をぬけるとメールの受信。
柱周りのところに移動してメールを見れば


『モモちゃんみっけ♪』


キューブさんは私を見つけたらしい。
私も早く見つけなきゃ、って思い顔を上げようとしたところで声をかけられた。


「ようこそ、モモちゃん」


目の前に現れたのはかわいらしい声をした小柄な女のひと。
「ようこそ」と言ったこの人はたぶんキューブさん。
私がはじめてギルドに入ったときにも同じ言葉を言ってくれた。
私よりは年上だと思うけど、どのへんがだいぶおねーさん、なんだろうか?


「えっと、キューブさん?」

「うん、よかったモモちゃんが迷子にならずに無事着いて」


いや、だってまだ改札出ただけだし。
迷子になりようがないっていうか。


「あ、ちょっと待ってね。捕獲メール雪姫に入れとくから」


いや、まぎれもなく発言がキューブさん。
捕獲メールとか迷子にならないでとか。あいかわらずの毒舌。
手早くメールをすると携帯をカバンにしまい、「キューブです。今日はよろしくね」と微笑んで言った。


「あの、こちらこそ」

「とりあえず歩きながら話そうか」

「はい、あの、すみません。早い時間から無理言ってしまって」

「何言ってんの。私たちがそうしたいってお願いしたんだよ?今日はいっぱい楽しもうね」

「はい!」


キューブさんと並んで歩く。
私もかなり小さいほうだけど、キューブさんも同じぐらい。
今日はいい天気でよかったねーとか、エキナカでいい買い物できたとか色々話しかけてくれてる。
さっき初めて会ったのに、不思議とそんな感じはなくて。
全然緊張してないとはいえないけれど、初対面の緊張感とは違う。
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