彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
「ちょっとスーちゃん、ジュンちゃん来ないじゃない!」
「そろそろ来るはずなんだけどな…」
私も電車の時間があるし、たぶんもう少ししたら駅に向かわないといけないんだけど。
携帯で時間を確認すればもうすぐ九時。
あれ?なんか点滅してる。
カバンの中に入れたままになっていて、気づかなかったけどメールがきてたみたい。
『もうすぐつくから』
それは、ひさしぶりにきたジュンさんからのメールで。相変わらず短い。
「あ、ジュンさん。もうすぐつくみたいですよ?」
「なんでモモちゃんにメール?」
スーラさんにそう言われて受信時間を見ればついさっきだったようで。
スーラさん、自分の携帯にメールがきてないかどうかもう一度確認してるけど、
「だって俺には来てないよ?」
「ははは、スーちゃん振られたな」
そうだよね、さっきまでスーラさんとメールやり取りしてたのに。
なんで私、なんだろ?
「あ、でも私お酒飲まないの知ってますし、だからじゃないですか?」
「まーそうかもねー」
うん、そうだよ。
スーラさん飲んでて気づかないかも?
て思ったからきっと私に……
「んなわけないじゃん、モモちゃんマジでいってるの?」
そう言ったのは目の前に座ってるリズさん。
私以外誰にも聞こえていないみたいだけど、私に言ったんだよね?
「へ?」
「へじゃないよ、モモちゃん。ちょい鈍感なのはかわいいけど、そこまでくるとかわいそうだよねー」
かわいい顔でさらっとけっこうひどいこと言われた気がします。
しかもまた鈍感って言われた。
それにかわいそうって誰が?
怪訝な顔をしていたであろう私にかまわずにリズさんは続けて言う。
「モモちゃん、色っぽさ勉強するよりさ。まずは恋の勉強したほうがいいと思うよ?」
は、い?
今、なんて?
「おージュン。ここ、ここ」
ジュンさんを見つけたらしいスーラさんが立ち上がって呼んでる。
私の席は入り口に背を向けているから振り返らないと見えない。
でも今はジュンさんのことより、たった今リズさんの言ったことを確認する方が先って思って。
「それってどういう意味ですか?リズさん」
「ん?ちょうど来たみたいだから本人に聞いてきたら?」
ちょうど来たみたい?
それってジュンさんのことだよね?
なんでそれが、今の答えなの?