彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)


「すっごい、おいしいー」

「それはよかった」


夕飯の前に近くを散策して大浴場でもいったから結構おなかがすいてた。
それにこのレストランの創作和食は味はもちろん目でも楽しませてくれている。

目の前にいる主任は、あんまり食べてないような……


「しゅ、ジュンさん。食べないんですか?」

「大丈夫。あとで、食べるから」


そう言ってニッコリ微笑む主任。
あとで、とか…その言い方なんか。



     *****


レストランを出て、隣にあるバーによるのかと思っていたら素通りで部屋に戻ってきた。
食事の時も食前酒しか飲んでなかったし、具合でも悪かったのかな?


「お酒、よかったんですか?」

「そんなの飲んで寝たら意味ない」


また、そんなこと言ってる。
そのたびに赤くなったり青くなったり忙しい私を見て、主任はきっと楽しんでる。


主任は私の頬に指を当て、「又そんなこと言ってるって顔。」ついでにぷにぷに押してみてる。


「もうっ、どうして私の考えてること、全部わかるんですかっ」


ぷにぷにされたままの私は、主任から見たらちょっと間抜けな感じに見えたかもしれない。
でもこっちは、ちょっと怒って言ったつもりだった。

それなのに主任は真面目な顔で「いつも、モモの事、見てるから」とか。


いつも?見てる?私を?

そのままふわりと抱きしめられてまた耳元で囁く。


「東京に連れてけばよかった。……モモと会ったときはいつも家に連れて帰りたいと思ってた。」


その声は少し震えてて、


「迷子防止なんて言い訳で手を繋ぐたびに、モモを手に入れたくて仕方なかった」

「ジュン、さん?」

「……このままじゃモモが足りなくて、離れていられる自信なんてない」


いつだって余裕だと思ってた主任が打ち明けてくれる本音。
私はまだ主任の言ってくれた言葉に返事さえしていない。
それが主任を不安にさせてるの?
どうしたら主任に私の気持ちを伝えられる?


「あの。私……
主任もジュンさんも、今ここにいる堂地純哉さんも全部…好き、ですから」

「モモ?」

「……だからっ、あのっ」

「モモ、いいよ。ありが――――」
「ちゃんとっ、ジュンさんの彼女にしてくださいっ」


言っちゃった。
言っちゃったよ、
ちゃんと彼女にして、でわかってくれるよね?
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