彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
着替えを済ませ事務所を出ると、自分の車に向かった。

今日はこのまま実家へ帰る予定。

遠回りしてお母さんのお気に入りのケーキやさんを目指す。

四月は桜のイメージのスイーツ特集だったけど、五月はどんなケーキが出てるのか楽しみ。

そのまましばらく車を走らせると、お目当てのケーキやさんに到着。

結局選びきれなくて色々買いすぎた?

ん。でも明日も食べればいいしね。

食べたいケーキがありすぎて、買いすぎた感はあるけど、大満足で車へと戻った私。


あれ?この辺って……朔也さんのレストランの近くかも?

そうそうこのへん。

こんなところにあったの知らなかったし、あんなにおいしいなんて反則。

せめてもう少しカジュアルだったら気軽に行けるのに。

いや、気軽に行けないから、あれはあれでいいのかななんて、ワケのわからないことを思いつつ朔也さんのレストランの前を通り過ぎた。

駐車場は一杯だからきっと店内は満席のはず。

今日は金曜日だし、あんなにおいしくてイケメンシェフのオーナのいるお店だもん。

またいつかいけるといいなぁ。


そして小一時間車を走らせて実家に到着。


「ただいまぁ」そう言いながらお母さんが夕飯の支度をしているキッチンに直行。


「あら桃華ちゃん、早かったわね?」

「あ、うん。会社からまっすぐ来たから。はい、これお土産」


それを受け取ると、「今月の新作何かしら?」なんて言いながらイソイソとケーキを冷蔵庫に入れるお母さん。


「どれもおいしそうで選びきれなくて買いすぎちゃった」

「お夕飯の後で頂きましょうね?」

「じゃ、ちょっと着替えてくるね」


夕飯の準備の手伝いはしない。

私の不器用さにお母さんもあきらめたらしい。

だからそのまま二階の自分の部屋に行き、着替えを済ませた。

大学まではこの部屋で暮らしていたのに、一人暮らしの家がある今では何故かちょっと落ち着かない。

たった二年で自分の暮らしのカタチが出来上がってるのが少しさみしい。

この日はお母さんの作った夕飯を満足するまで食べて、お父さんの晩酌に付き合って(お酒を注ぐだけだけど)もちろんケーキも食べた。

三人で遅い時間まで色んな話をして過ごした。
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