彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
夕飯の片づけを手伝ってから、お風呂に入った。

実家にもパソコンはあるけど、デスクトップは私の一人暮らしの家に持って行ってる。

だからここにあるのはお父さんのお古のノートだから、ゲームなんて出来ない。

せっかくの光回線なのに、ゲームできないんじゃ意味がない。


「……ひま」


ゲームをはじめてたった一週間なのに、すっかり私の生活を変えてしまった。

ゲームを始める前って何してたっけ?

携帯ゲームしたり、携帯小説読んだり、動画サイト見たり。

あ、全部携帯だ。

そういえば全部忘れてた。

毎日それなりに楽しく暮らしてたはずなのにな。

考えてみれば、家に帰ってから寝るまでの間のほとんどをゲーム世界の中で過ごしている。


「ちょっと、はまりすぎ?」


いやいや、最初ははまるよね?
でも、スーラさんに声掛けて貰わなかったらこんなにははまらなかったのかも。

ギルドに入って自分とはレベルも違う仲間が増えたこともその要因かな。

なにより、みんなとのおしゃべりは楽しい。

生産しながらおしゃべりだけしてる人の気持ちもわからなくもない。

約束したわけじゃないけど、そこに行けば誰かに会えるからログインするんだよね。

あ、やっぱりちょっと寂しい子なのかな。私。


「今日もしたかったなぁ。ゲーム……」


そんな事を考えてるうちに急に睡魔が襲ってきた。

今週は色々とあったし、一週間働いたあとで運転してここまで帰ってきたから疲れたのかな。


「寝よ。」


そのままベッドに入ると、静かに目を閉じた。


まさかその時、私がどんな人とデートしてるかをゲーム内で噂されてたなんてまったく思いもしなかった。
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