彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
ロッカールームにいけば、朝から気合の入ったメイクの望亜奈さん。

そういえば先週いってた合コンはたぶん今日。

この気合の入れ具合は、かなり期待してるって証拠。

あれ以来お誘いもないからきっとメンバーも見つかって今日を迎えてるんだろうけど。


「モモちゃん。おはよ」


どうやら、すごくご機嫌です。


「おはようございます。望亜奈さん」

「今日はねー。J社と合コンなんだー」


J社といえば、この辺では高学歴、高収入と噂の企業らしい。

そういうものに全く興味のない私が知ってるのは望亜奈さんが教えてくれたから。


「ちょっと気合入れすぎかなーなんて」


ちゃんとわかってるんじゃないですか。
だって朝からそのバッサバサの睫毛はちょっとヤバいですよ。


「いい人見つかるといいですね?」

「うん。がんばる~」


ほんと頑張っちゃってください。
望亜奈さんが幸せになる日を楽しみしてますから。


「あれ?モモちゃん。今日ってまた外回り同行?」


いつもよりきちんとした服装をしていたからか、望亜奈さんにはわかったみたい。


「そうなんですよ……」

「いいなぁ、主任と同行」


は?今まで合コンがどうとか散々言ってたのに、何で急にそうなるのか。
前回の同行で少しだけ慣れたし、日々のコーヒータイムのおかげで免疫もかなりついた。

それでもなれない場所も主任の隣も緊張する。


「緊張して、口から心臓でそうですけどね?」

「それはもうアレだけ素敵だったら、緊張もするよねー?」

「いや、そうじゃなくてですね」

「やっぱりモモちゃんは主任に可愛がられてるよねー?」


は?今なんて?
可愛がられてるわけないし。


「主任が仕事以外の話するのって。モモちゃんとだけだよ?」

「近くにいるからですよ」

「だって私、この前見ちゃったし。夕方のコーヒータイムの二人」


へ?
あれって、眉間のシワ伸ばすためだけっていうか


「あれは―――」
「あーっ!もう時間じゃん!モモちゃん先行くね?」


って、叫んだ望亜奈さんはいつの間にかもうロッカールームにはいなくて。

なんとも私。不完全燃焼。
望亜奈さんは、言い訳さえ聞いてくれません。
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