キミは俺のモノでしょ
「なんで俯くの?」

「…………」

「ほら見て、うらら。だいぶ高くまであがってきたよ」

「!」

「もうそろそろ頂上かなぁ。綺麗な景色だよ? 晴れてるからずっと遠くまで見える」

「見たくない」

「……見なよ」

「嫌だ」


嫌だ。


嫌だよ。


わたし、お兄ちゃんに……


「高いところ、そんなに怖い?」

「…………」

「それとも、」


クイッと顎を持ち上げられる。


「――俺に妹扱いされる方が、ずっと怖い?」

「なっ……」


わたしをジロリと見る兄の顔は、

とても嬉しげで。

とても歪んでいた。


「大丈夫。知ってる」

「っ、なにを?」

「うららが俺との兄妹関係望んでないことくらい、とっくに気づいてる」

「!?」

「俺だって望んでない。築く気ない」

「離して……」

「だって妹にしちゃったら、うららのことイジめられなくなるから」
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