ケーキ屋の彼
ぼーっと自分の顔を見る柑菜に一瞬ドキッとする秋斗。
「か、柑菜さん」
その秋斗の柑菜を呼ぶ声は、いつもより格段に甘く聞こえた。
「あ、はい」
秋斗に名前を呼ばれて我に返る柑菜。
そんな柑菜を見て、ふわっと微笑む秋斗。
その秋斗の顔は、いつもよりもピンクに色づいていた。
「ねえ、手を出して」
秋斗は、ポケットからあるものを取り出した。
それは、いつも秋斗が疲れた時に食べる物。
「はい、これ」
そこには、小さな可愛らしいキャンディが乗っていた。
「ありがとう……ございます」
ありがとうという言葉と同時に、柑菜は秋斗の目を見る。
柑菜を見る秋斗の目が今までにないくらい優しい目で、吸い込まれそうになるも柑菜はついそらしてしまった。
ーーやっぱり、秋斗さんはずるい。
柑菜はそのキャンディを大切にポケットにしまった。