ケーキ屋の彼
「ねえ、花火しない?」
空もすっかり暗く、カレーも食べ終えた頃、誰かがそう言葉にする。
「いいね」
柑菜や櫻子、亜紀は夜になっても疲れていないようで、花火という単語に目を輝かせていた。
柑菜はさきほど買ってきた花火を持ち、美鈴に続き外に出る。
外は、ヨーロッパを思わせるお洒落な街灯で照らされていて、またその光が淡いオレンジだということもあり、優しい雰囲気に包まれていた。
そして、海から吹いているのであろう風は、昼よりも冷たく、過ごしやすくなっている。
また、夜ということで波の音も一層響いている。
昼とは違い、どこか寂しげなその波の音。
「夜の海もいいですよね」
空に浮かぶ月が、海というスクリーンに映し出されていた。
「うん、絵を描くのにもいい題材」
相変わらずどの場面でも絵のことを考えている美鈴に、柑菜はもはや尊敬の念を抱いていた。
2人に続いて、4人がぞろぞろと別荘から出てきた。