ケーキ屋の彼
「明日も実は3人で来るんです、その時に買おうかな……」
「うん、そうだね。明日の楽しみにするのもいいかも」
柑菜は秋斗の方に顔を向け、笑顔を浮かべた。
柑菜はその自分の笑顔が、秋斗をどうさせるかなんて、もちろん知らない。
無邪気な柑菜の隣で、彼女に対する思いがどんどんと変化していく秋斗は、自分の思いに戸惑っていた。
「秋斗さん……?」
柑菜が色々なチョコレートを見ている間、人混みの中で立ちすくむ秋斗は、柑菜の声ではっとする。
「あ、ごめんごめん」
秋斗が柑菜の元に行こうとした時、その腕が誰かに掴まれる。
「秋斗」
秋斗を呼ぶ、女の人の声。
「真莉、仕事は?」
「休憩時間をもらったの」
にやっと笑う真莉の顔は、まるで小悪魔のように柑菜の目に映る。
秋斗をつかむ腕は固く、なかなか柑菜の元に行くことを許してくれない。
秋斗が困った顔をし何も話さずにいると、ようやく真莉はその手を離した。