ケーキ屋の彼
「いいけど……どうして?」
涼と同じことを言う櫻子に、少し疑心暗鬼になる。
2人は、もしかしたら私の恋に反対なのかもしれないと、不安になってくる柑菜。
「柑菜ちゃんにはケーキじゃない料理を作っていただきたいの。私料理って得意じゃなくて、もちろん2人で作るけれど、途中で私が抜けて取りに行くわ」
櫻子は、淡々とそう答える。
「そうだね」
少し納得のいかない顔の柑菜だが、特に裏のありそうもない櫻子の笑顔を見て、首を縦に振った。
その後、2人は駅前のお店を色々と見て回る。
主に、若い女の子が来ているような可愛らしい雑貨が置いてあるショップの腕時計を探して歩いた。
そして、亜紀にぴったりの柄や色のものをついに2人は見つけた。
「明日が楽しみだわ」
「うん、じゃあ、1時に櫻子の家でいいのよね」
「ええ」
亜紀とはずれた時間の約束をし、2人はそれぞれの家に帰った。