ケーキ屋の彼
「そろそろ行こうか」
柑菜と亜紀が戻ってきたところで、美鈴はみんなにそう呼びかけた。
「そうだね」
そう1番に返事をする秋斗を見て、『やっぱりそうなんだ……』と先ほどの亜紀の言葉をより現実的に感じ取ってしまう柑菜は、わざと秋斗から離れた位置にいることにした。
「柑菜?」
何かを感じ取ったのか、涼が柑菜の名前を呼ぶも、柑菜は「どうしたの?」と顔色を変えない。
その様子を見て、勘違いだと思った涼は「いや、なんでも」とただそれだけを言った。
「柑菜ちゃん見て、アゲハ蝶」
柑菜たちの上空を、青いアゲハ蝶が飛んでいた。
黄色のものよりも大人っぽく見せる青色。
自由にどこかに飛んでいく蝶を見て、櫻子はその自由さを羨ましいと感じた。