ケーキ屋の彼
「ねえ、見てここから見える景色綺麗だよ」
亜紀は柑菜を励まそうと、木と木の間から見えるピンク色の花を指差した。
それは一面に咲いており、この景色を色付けている。
「柑菜は可愛いんだから、きっともっと素敵な人見つかるよ」
「うん、ありがとう」
励ましてくれる亜紀のために、柑菜は必死に明るく振舞おうとした。
恋は叶わなくても、こうやってそばにいれてくれる仲間がいて、その仲間はこうして心配してくれたり気遣いをしてくれる。
柑菜は、そんな友達がいることに感謝をするのだった。
「みんなのもとに戻ろうか」
「そうだね」
ーーこれから、どんな顔をしたらいいのだろう。
柑菜は、先ほどの買い物のことを思い出す。
秋斗の笑顔や話しかけてくれたこと、今考えるとそれだけで浮かれていた自分が情けないとさえ思う。
チョコレートの件も、それがお世辞だったのだと柑菜は自分を嘲笑った。