地味OLはシンデレラ
玄関でパンプスを履いていると、手を掴まれ、唇が重なった。
最初は軽いキスで、次第に頭がくらくらするほどの濃厚なキスになる。
手に持っていた鍵がカランッと下に落ちた。

マンションのエントランスのインターホンが鳴る音で、唇は離れた。
和真さんが呼んでくれたタクシーが到着して、私は挨拶もそこそこに急いで部屋を出て、外で待機しているタクシーに乗った。

ホテルの部屋に入ると、急いでシャワーを浴びて、いつも通りの地味な通勤服に着替え、私の必須アイテムの眼鏡をかける。
ただ、いつもと違うのは、私の左手薬指にエンゲージリングがはめられているということ。

大事にしまっておきたいと言った私に対して、毎日付けるようにと、業務命令のように強制的に言われてしまった。

私は溜め息をつきながら、荷物をまとめてチェックアウトした。


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