地味OLはシンデレラ
重い瞼を少し開けると、男の人の逞しい厚い胸板が目に入る。
程よい筋肉がついた腕に抱きしめられている。
顔を上げると、和真さんはすでに目覚めていて、優しく笑っている。

「おはようございます」
「おはよう」

私は昨夜、初めて男の人に身を委ねた。
和真さんに何度も甘やかされ、途中からの記憶は曖昧で、いつの間にか眠ってしまったらしい。

それでも、感じたことのない身体のダルさと、真っ裸の状態に、昨夜のことが夢ではなかったことを思い知る。

「起きてたんですか?」
「ちょっと前にな。名残惜しいけど、そろそろ起きないと、遅刻するぞ」

甘い雰囲気は遅刻という言葉でどこか遠くに飛んでいき、一気に現実に舞い戻る。

私は急いで服を着て、簡単に身なりを整えて、メークをし直す。
仮の住まいのホテルに戻って、服を着替えないと、さすがにパーティードレスで出勤は出来ない。
バッグを持って玄関に向かうと、和真さんはシャツを着ながら、私の手のひらに鍵を置いた。

「部屋の鍵、渡しとく。それからホテルはチェックアウトしろよ。ホテルに置いてある荷物はここに送るように言っておいたから。ホテルのオーナーは俺の同級生だから、なんとでもなる。心配するな」

一緒に住むことは決定事項みたい。
これまで驚きの連続で、ホテルのオーナーが同級生ってことに対して驚きもしない。
あ、そうなんだ、くらいのもの。
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