ハライメ〜悪喰の大蛇〜

『昨日……じゃない、もう今日のことになるのか。
佳菜子ちゃんが家に帰ってきたのは、日付が変わってからだった。
ヒナちゃんを放って一日中家を空けて……今月に入ってもう三回目。
雅史さんが強く叱っていたけど、本人は話を聞いているのかいないのか、どこで何をしていたのかを答えなかった。
やっぱりまだ10代の彼女にとって、赤ん坊にかかりっきりの生活は辛すぎたのかな。
大人の私だって、育児に疲れて泣きたくなる時もある。
若すぎる佳菜子ちゃんなんて、なおさらそうだろう』


まだ一歳にもならない日菜子を置いて深夜までの外出を繰り返し、ときには朝帰りまでする佳菜子。

家人の留守を狙って、男の子を部屋に引っ張り込むこともあったらしい。

そんな佳菜子の様子について、母たちは最初は呆れながらも「育児のストレスのせいだろう」と考えていた。


けれど、母はだんだん「本当にそうだろうか?」と思い始める。

佳菜子の態度は、溜まっている不満や鬱憤を晴らそうとしているのとは違うように感じられたからだ。



そんなある日、決定的な事件が起きた。


友人に誘われ、日菜子を祖母に預けて近隣の夏祭りに出かけていた佳菜子は、その夜遅く、警察の車で家まで送り届けられた。
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