麗しき日々
 
 社長のぶかぶかのスウェットを着て、ソファーの上に座った。


 副社長は、私のワンピースをクリーニングに預け、自分もシャワーを浴びている。


 この格好じゃ、帰るに帰れない。

 そうかと言って、このままここに居たら、どうなってしまうのだろう?


 副社長の唇の感覚が、まだ残っている。そっと、指で唇に触れてみた。



 その時、ガチャっとドアが開き、タオルを首にかけたままの副社長が現れた。


 そのまま、キッチンへ向かい、マグカップを二つ手にして戻ってきた。

 一つを私に差し出す。


「ありがとうございます……」


 マグカップの中にはコーヒーが湯気を立てている。


 私は、包むように持ったマグカップをゆっくりと口に運んだ。


 口の中に広がる苦さと暖かさに、なんだか、ほっとしてくる……


 しかし……


 どさっと、私の横に座った副社長の威圧に、また緊張感が戻ってきた。

 それに、気付いたのか? 気付かないのか? 副社長が口を開いた。
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