【完】V.I.P〜今宵、貴方だけの私になる〜


「忍…心ごと全部俺のものになれ…なってくれ…」

「かなめさ…ん」


ずっとクールなまま、他人から干渉されずに生きて行きたいと思っていた。
だから、きっと沢山の人間を傷付けて来たんだろう。

でも、彼女との出会いで全ては変わった。

絶対に逃げていけないと、逃してはいけないと、そう思ったんだ。

「お前を幸せに出来るのは俺しかいない。そうだろう?忍…?」


そう、甘い吐息と共に囁やけば、彼女の瞳から大粒の涙が溢れた。

「私…っ」

「忍。俺をこんな風にした責任を取ってくれ。じゃないと、もう俺は…一人きりじゃ生きていけない…」


何度もキスを重ねて、彼女の涙を口唇で拭って。
彼女へと、愛を乞う。


ただ、一度だけでもいい…。

その口唇から「愛してる」と聞きたくて…。

俺の全身全霊をかけて、貴女を愛すると永久に誓う。


これが、最初で最後の俺の我侭。
貴女を想う気持で、俺は何処までも強くなる。


愛して欲しい、目の前の俺を…。
赦して欲しい、今までの俺を…。

その、真っ直ぐに俺へと注がれる、愛らしく射抜くような視線で、俺を雁字搦めに愛してくれ…。

溶け出した心は、貴女以外受け付けない。


こんなことを言えるのは、世界中探しても貴女だけしか有り得ない。

だから、俺を受け入れて…。

どうか、ずっと………愛し続けてくれ……。


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