【完】V.I.P〜今宵、貴方だけの私になる〜

ここの所の急激な気圧変動で、頭が重い。
風邪か?
それとも流行りの花粉か…。
はたまた、…恋煩いか。


なんとなく、どれも当て嵌まるようでしっくり来ない。


ただ、目の前で先程からパソコンに向かって難しい顔をしている彼女を見ていると、その症状は悪化していくようだった。



サラサラと、彼女が動く度に揺れる髪を、この手に一房取って、口付けられたら…どれだけ幸せなんだろうか…。


そんなことを思いながら、彼女が淹れてくれた絶品のコヒーを飲み込む。
チラリ、と斜め横のデスクに座り、メーラーを立ち上げてからずっと作業している姿を見ていた。


色白の肌はきめが細かく、吸い付くように滑らかで…その感触はこの前、実感済み。

アーモンド型にスッと切れた瞳は、その髪と同じで茶色く、一度見つめられれば、逸らすことが出来ないくらいの強さを持っているように感じる。


厚くも薄くもない、形の良い口唇は、とてもセクシーで左下に控えめに小さく主張しているホクロが、堪らなく魅力的だった。


性格はどちからと言えば、表面は猫…。
いや。
内面も相当な猫、か?


そこまで思い、くすくすと笑うと、怪訝そうな声が斜め横から投げたれた。


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