セカンド・ラブをあなたと
「林間学校のこと、きいたよ」

公園に着く前から雨が降りだしたから、駐車場で車に残ったまま話した。

「何?」
「レクリエーションで、佐川先生と…」
「え!うわ~、悪事でもないのに千里突っ走ってる感じだな」
助手席からちらっと見ると、ちょっと苦そうな顔をしたと思った。

私はぼそぼそと言った。
「それで、言っておこうと思って。あの、私に遠慮しないでいいからね」

「何それ?子どもたちの悪ふざけにつきあっただけだよ。気にするようなことじゃないよ」
軽く答えてくれたけど、私は言い募る。
「佐川先生は本気かもしれないんだから、きちんと考えたほうがいいって」

ちょっと間があいた。

「『私がいるのに』って怒るんならわかるけど、ほかの人を薦めるの?」
翔さんの声が少しとがった。私はまたぼそぼそと補足する。
「最初からなしにするんじゃなくて、少しは考えたほうがいいと思う。翔さんのことだから、私がいるからって、まったく考えてないでしょ」
「当たり前じゃん」
「校長先生も応援してるって…」
「ハァッ」とため息をつかれた。

「いい加減にしてよ」
両肩に手を置かれて、向き合わさせられる。

「否定してほしくてわざと言ってる?鈴音ちゃんくらい後ろ向きの人が言うとシャレにならないからやめて」

否定してほしいのもあるけど、ほんとに考えたほうがいいって思ってるのに…。

「好きな女からほか行っていいなんて言われてどう思うと思う?」
怒ってる。いつも穏やかな翔さんだから、こんな口調で話されたことなかった。

「好きな女」。怒って言われたその言葉にうれしいと感じる身勝手な自分。
結局試してしまった。自分が安心したくて翔さんを不快にさせてしまった。
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