セカンド・ラブをあなたと
「抱きつかれたって?」
「その後突き飛ばされた」
「どこ触られた?」
「羽交い絞めにされたから、腕と胸と太腿のへん…」

「こっちきて」
運転席のシートを最大限後ろにして、ハンドルとの間に私を呼び込む。
「膝、ぶつけないようにね」
こけた膝にも大きな絆創膏がはってある。ハンドルに当たらないよう、気を付けて翔さんの前に移動した。
背中が翔さんの胸に密着する。
「いやじゃない?怖くない?」
痴漢を気にして翔さんがきいてくる。
「だいじょうぶ」

そう答えると、後ろから翔さんが両手を伸ばして腕を擦ってくる。
二の腕からゆっくりひじを通って手首と手の甲を包んでくれる。
しばらくしてから、その手はそのまま太腿に移る。絆創膏の膝にはごく軽くタッチして、太ももは指を立てるように動く。
それから翔さんの両手は私のおなかのあたりで組まれた。

首筋に翔さんの息がかかる。
「汗くさいよ」
「だいじょうぶ」
片手で髪を寄せて、うなじにキスが落とされる。
その手は前に戻って、おなかを通りこして、そっと胸を包んだ。
癒しと官能の真ん中のような感覚に酔いそう…。
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