君を愛していいのは俺だけ

 打ち合わせが終わって自席に戻ると、滝澤さんが正方形の付箋を渡してきた。


【何時なら行ける?】
【十四時から来客なので、その前ならいつでもいいですよ】

 付箋に返事を書いて渡すと、十五分後に行くことになった。


 どのお店に行こうか考えると、この前陽太くんが連れていってくれた表参道のお洒落なレストランを思い出す。
 ムードのある静かな店内にはジャズが流れていて……。

 また行きたいな。どうしたら、また誘ってもらえるんだろう。
 自分から声をかける勇気が出せたら、食事くらいはつき合ってくれるかな……。


「秋吉さん、行くよ」
「うん」

 作業を上書き保存して、バッグを持って離席した。

 十二時半のエレベーターは混雑していて、ぎゅうぎゅう詰めだ。
 身体を小さくして乗り込むと、上階から乗っていた陽太くんと隣り合った。


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