君を愛していいのは俺だけ

「ありがとう。……仁香、好きだよ」
「っ!!」

 彼の熱い想いに晒されて、雰囲気にのまれてしまいそう。
 だけど、空白の七年も今の彼も、私にとっては知らないことが多すぎて……。


「これから仁香をもっと好きになるから、許してね」

 彼の優しい微笑みと、穏やかな声色に胸の奥が締め付けられていく。


 再会してから、表立って彼の気持ちが見えなかった分、ストレートな想いに心の奥が疼く。
 私も好きって言えたらいいのに、やっぱり今の彼を知らなすぎるからか、慎重になって言葉をのんでしまった。

 ただ彼が好きなだけで復縁して、またすれ違いで別れないとも限らない。
 しかも次は、価値観が合わないとか、長く一緒にいられない理由があっての別れになるだろう。
 彼があえて期間を設け、私に判断を委ねているように、私も彼に愛される女性になれるように努力したいと思った。


< 240 / 431 >

この作品をシェア

pagetop