君を愛していいのは俺だけ

 社長室は、単に社長がいる部屋というだけではなく、室長を置いたひとつの部署。
 おそらく他の企業でも、社長のサポートや社長の意思を社内外に発信する役割を担っているはずだ。経営企画と広報が同じ階に入っているのも、仕事効率を考えたのだろう。


 他の部署はガラス張りのドアなのに、社長室だけは漆黒のモダンな扉が設けられている。
 ドアの前にはセキュリティーがあって、首から提げていたIDをかざしたけれど、入退室の権限が与えられていないようで、施錠されたままだ。

 どうしようかと考えていると、社長室で働いている先輩社員が通りかかり声をかけてくれた。


「周防社長にお話がありまして」
「そう。じゃあ、どうぞ」

 アポイントもないし、入ったばかりの社員がなにを話すのかと疑われると思っていたのに、先輩はにこやかに扉の向こうへ入れてくれた。


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