君を愛していいのは俺だけ
「会いたかったよ」
抱きしめる力を強め、私と一層密着した彼が耳元で呟いた。
「あのっ……誰かに見られたら大変なので」
「離れてた間の充電くらいさせて」
彼からもらったピアスを付けた耳たぶを軽く噛まれて、声にならない声が出た。
「早く打ち合わせをっ!」
「今してるだろ? 打ち合わせ」
そっと身体を離した彼は、真っ赤な顔で周囲を気にしている私を見つめて、意地悪に笑った。
「本当、かわいい」
私の顎先に指を掛け、俯いて視線を逸らそうとしたのに許されなくて。
「今すぐ返事が欲しいくらいだけど、今月中の期限の間は待ってるから」
そう言い残すと、彼は簡易ブースを去っていった。