君を愛していいのは俺だけ
パーティションで仕切られているだけの簡易打ち合わせブースに彼が座っているのを見つけ、テーブルを挟んで私も腰かけようとした。
「なんでそっちに座ろうとするの? 隣に来て」
言われた通りに隣の椅子を引いて座ると、突然抱きしめられて息が止まったかと思った。
「よ……社長!?」
動揺して、思わず“陽太くん”と言いそうになった私を、彼は小さく笑っている。
「いいよ、陽太でも」
「いえ、仕事中ですので」
彼に抱きしめられながらこんなことを言ってもあまり説得力はない。
でも、会社にいる間はちゃんと社長として接するように意識しようと決めた。
彼と過ごしたクリスマスがずっと頭の片隅に残されているせいで、ふと頬が熱くなるようになってしまったから。