君を愛していいのは俺だけ

 ドキドキさせては微笑んで、その表情で簡単に射抜いて嬉しそうにする意地悪な彼は、私が知っていた陽太くんじゃない。

 だけど、どうしようもなく好き。
 ずっと好きなの。


「……私の気持ちも知らないくせに」

 一緒にいるだけで、胸の奥が熱くなる。
 今の彼を少しずつ知れるのが嬉しくてたまらない。
 もっとずっと、彼といる時間を重ねていきたい――。

 そんな想いでいるなんて、きっと彼は知らないはず。


「なに? 聞こえない」
「っ!!」

 聞かせるつもりはなかった想いを呟いたら、俯いたままでいる私の顎先が強引に指で持ち上げられ、真正面から彼と向き合った。
 息がかかりそうなほどの近さで見つめられ、思わず視線をそらす。



「知ってるよ。仁香は、俺のことが好き」
「…………」

 見透かされていたと知って、七年分の想いが一気に噴き出し、返事が言葉にならなくなった。


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