君を愛していいのは俺だけ

「バレンタインのチョコは?」
「……用意してないの」
「そっか」

 少し残念そうな声に、私から身体を離した。


「明日でもいい? それか今日これから用意しても間に合うかな?」
「今がいいんだけど」
「でも……」

 告白する予定もなかったし、代わりになりそうなものもない。
 どうしたらいいかと思案していたら、彼がまた意地悪に微笑んできた。


「っ!?」

 不意をつかれたキスに目を丸くしていると、もう一度唇が重ねられた。
 そのままソファに押し倒され、耳元に彼の吐息がかかる。


「もう絶対に離さない」

 七年ぶりのキスの味は記憶していたよりも甘く、食んでくる彼の唇に溶かされそうだった。


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