君を愛していいのは俺だけ
私の左側には、MDの先輩方が座っていて、目の前に滝澤さんがいる。その隣は桃子ちゃんが座った。
元木さんは、少しだけ隙間を空けて置かれた隣のテーブルにいて、所属部署の先輩と話している。三十人も集まると、なかなかにぎやかだ。
「お疲れ様、秋吉さん」
「お疲れ様です」
そして、私の右隣には、周防社長が座っていて。
他の人もいるから、顔に出ないように気を付けようと思っても、彼に微笑まれると一撃で頬が染まってしまう。
どうして私の隣なの? 桃子ちゃんの隣でもいいのに。
でも、彼が“陽太くん”だとしたら、他の人の隣なんて嫌だし……。
「っ!?」
「そんなに見つめられても、困るんだけど」
「す、すみませんっ!」
無意識で、周防社長のことを見つめてしまっていた自分が恥ずかしくて、真っ赤な顔を思い切り伏せて隠した。