君を愛していいのは俺だけ

 注文した料理や飲み物がテーブルを埋め尽くし、各々が近くに座った社員と楽しく話して過ごしている。
 向かいの席にいる滝澤さんと桃子ちゃんも大笑いしていて、すごくいい時間だ。みんなが笑顔で過ごしているなんて、こんな楽しい時間はない。


「今、なに考えてるの?」
「えっ!?」
「すごく幸せそうな顔に見えたから」

 周防社長は反対隣にいるサイトデザイナーの社員と話していたはずなのに、いつの間にか見られていたなんて。


「みんな楽しそうにしてて、すごくいい時間だなって思ってたんです」
「秋吉さんも楽しんでくれてる?」
「はい! もちろんです!」

 すかさず返事をすると、周防社長は私をじっと見つめてきて。
 瞳の奥まで焦がされそうなほど、彼のまなざしから目が逸らせなくなる。


「俺も、楽しいよ。すごく」

 不意ににこっと笑った彼が、日本酒が注がれた枡酒を口に含み、向かいに座る桃子ちゃんたちの話に混ざってしまった。


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