君を愛していいのは俺だけ

「周防社長っ！」

　お酒が弱い桃子ちゃんは、テンションが高くなっていて、社長に絡むように話しかけた。


「桃子ちゃん、飲めないなら飲まなくてもいいのに」

　隣に座っている滝澤さんが、桃子ちゃんのグラスをそっと遠ざける。


「社長、教えてください！」
「うん、なにを？」

　それでも、彼女は社長に言葉を続けた。


「周防社長の好きなタイプってどんな人ですか？」
「桃子ちゃん、なにを言ってるの。失礼だよ」

　滝澤さんも大変だなぁ。懸命にやめさせようとしているけど、当の社長は楽しそうに笑った。


「いいよ、答えられることなら答える。俺の好きなタイプは……」

　周防社長が質問に答えようとしていて、私は全身を傾けるようにして聞き入る。


「かわいい子かな。仕事に一生懸命で、ちょっと不器用だけど気持ちが隠せないような純粋な感じの子」

　彼が床に置いていたドリンクメニューを取って、私と目を合わせてきた。