君を愛していいのは俺だけ
「じゃあ、結婚願望はありますか?」
「あるよ。好きな人を幸せにしてあげたいのは、男として誰でもある感情じゃないかな。ね、滝澤くん」
「っ、そ、そうですね……」
不意をついて、周防社長が滝澤さんに同意を求めたから、彼は驚いた様子で答えた。
「仁香ちゃんの片想いしてる人って、どんな人?」
「私の話はいいよ」
桃子ちゃんが酔った勢いで聞いてきたけれど、私も上手く流す。
掘り炬燵に脚を入れたまま、座りなおそうと床に手をついたら、周防社長の手に触れてしまった。
「っ!! すみません」
「いいよ、気にしないで」
彼はなんとも思ってなさそうだけど、もし私が七年間も想い続けてきた人だとしたら、気にせずにいられるはずもない。
触れたくても触れられない日々が積もっていた分、ちょっとしたことでドキドキして胸の奥が締め付けられるよう。
「滝澤くんと真田さん、お似合いだと思わない?」
「っ!!」
それなのに、彼は私の動揺なんてまったく無視して、耳元でそっと呟いてきた。