君を愛していいのは俺だけ
「あのね、お見合いに行ってくれないかな」
「お見合い? 誰の?」
「私の」
「柚、彼と結婚するんだよね?」
そうなんだけど、と前置きして、彼女は椅子に座りなおした。
「知人の顔を立てるためにも、とりあえずでいいから行ってくれって親に言われたの」
「柚が断ればいいじゃん」
「それができたら、仁香に頼まないってば」
私がお見合い?
二十五歳になるまで、たったひとりしか付き合ったことのない私が?
それも、柚の身代わりで行くなんて……。
「無理だよ。だって、相手は柚と会うから来るんでしょ?」
「私のフリをしてほしいの。結果的に断ってくれていいから」
いくら仲のいい友人とはいえ、見た目も全然違う私が行ったら、大ごとになるに違いない。