君を愛していいのは俺だけ

 柚は、綺麗なロングストレートの黒髪に、細身でスタイルも抜群。すらりとした身長も、ヒールがよく似合っていて羨ましい限りだ。

 私はというと、平均的な百六十センチの身長に、緩めのパーマがかかったセミロング。
 なによりも、十人並みの容姿の私では、釣書との辻褄が合わないはずだ。


「彼がね、許してくれないの。断る前提でも、プロポーズをした後にそういう場には行ってほしくないって」
「そりゃそうかもしれないけど」
「釣書もね、彼が持って行っちゃって……名前とか経歴とか、ほとんど覚えてないんだ。でも、本当に断ってくれていいの。ぶち壊しにしない程度に、ごめんなさいって言ってくれたらいいから」

 柚のご両親の顔もあるし、結婚を決めた彼との仲もある。
 ここで私が断ったら、その両方に悪影響で……。


「わかった。それで、相手の人のこと、なにを覚えてるの?」
「……名字だけ」
「それだけ!? 顔とかは?」
「ちゃんと見る前に、彼に横取りされたから」

 柚が教えてくれたのは、相手が『周防さん』ということだけだった。


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