君を愛していいのは俺だけ

 定時で退社し、昼間に連絡を入れておいた高校時代の友人・美歩と渋谷で落ち合った。
 気兼ねなく話せる相手がいてよかったと、改めて思う。だけど、私が陽太くんと再会しているなんて、彼女も考えていなかったようだ。


「まさか元彼が、あのSUNRISERの社長になってるとはね……」

 適当に入った居酒屋で、酒のあてにぴったりだと言わんばかりに、美歩は楽しそうに話す。


「……七年経っても格好よかったよ。むしろ割増でいい男になってた」
「やっぱり期待を裏切らないね、イケメンは」
「でも、内面が……」
「なに? 人が変わったようになってた?」

 うん、と答えた私に、美歩はなにか分かっているような表情を向けてきた。


< 64 / 431 >

この作品をシェア

pagetop