君を愛していいのは俺だけ

「失礼いたします。お連れ様が到着されました」

 スタッフが男性に声をかけ、一礼して去っていく。


「暑い日に予定して申し訳ありません」

 立ち上がった男性の背丈を見上げ、顔を見た瞬間に息を飲んだ。


「どうぞおかけになってください」
「……失礼いたします」

 なんとか返事をするものの、驚きと疑問と、長年の片想いが混ぜこぜになってしまって、彼を凝視してしまった。


「周防と申します」
「あ……、も、最上です」

 危うく“秋吉”と名乗るところだった。
 この時間だけは、柚になりきらなくては。


「素敵なお召し物ですね。よくお似合いです」
「ありがとうございます」

 会話が続かない。
 なにを言われても、頭の中は大混乱で。
 ぎゅっと締め付けられた心が、痛くて切ない。


 お見合い相手の周防さんは、私がずっと恋をしている彼にそっくりだ。


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