イジワル騎士団長の傲慢な求愛
「もう二度と、こんな目に遭わせないと誓う」

「……はい」

「……それから」

ルーファスの腕が、そっと、けれど力強く、セシルの体を抱き寄せる。
彼には何度も抱きしめられてきたけれど、今まで味わったことのなかった感情がその腕から伝わってくる。
それはおそらく――家族に対するものではなく、友人とも違う。もっと唯一無二の、特別なもの。
全身で彼の体温を感じて、セシルの鼓動はどくどくと高鳴っていく。

「セシル……俺は……お前を……」

耳もとでルーファスが、途切れ途切れに独白する。
躊躇うほどに、セシルを抱く腕の力は強くなっていく。
まるで言葉に出せない想いをその体で表現するかのように。

「愛して――」

ルーファスが掠れた声を絞り出そうとした瞬間。


「セシル!!」

よく知る女性の声が響いてきて、セシルはハッと視線を跳ね上げた。

「お姉さま!」

「セシル!」

壊れた扉から部屋に飛び込んできたのはシャンテルだった。
ルーファスに抱きかかえられたボロボロのセシルを見て、はっと息を飲み、その手を取って頬ずりした。
< 113 / 146 >

この作品をシェア

pagetop